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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第80章 豊葦原千五百秋水穂国


(あ、この香り……)


目を開けなくても光秀さんが来たのだとわかった。
苦渋の決断をしてくれた謙信様に感謝した。

1人だった部屋が途端に慌ただしくなる。


光秀「信長様。蘭丸がおりませんのであなた様に細々と頼むことになりますが、どうぞご容赦を」

信長「良い、まずは湯をはった桶だったな。
 お前が言っていた道具は煮沸が済んだら持ってくる」

光秀「お願いします」


(蘭丸君、居ないんだ。佐助君のところに行ったのかな…)


上から聞こえてくる会話に気を取られていると、謙信様のものではない手が腰に触れてピクンと反応してしまった。


「はっ……ぁ」

光秀「これから赤子の位置を調べるためにお前に触れる。我慢しろよ」

「はい。光秀さん、こんなことを頼んでごめんなさい」


この時代、出産の場は穢れとされているのは知っている。

謙信様は現代の知識を得ているから立ち会ってくれているけど、光秀さんにこの場に来てもらうのは申し訳ない気分だ。


光秀「構わない。お前の助けとなるなら何でもしてやろう」


(いつもなら意地悪を言ってくるのに…)


光秀さんが素直だと調子が狂う。


「ありがとうございます」

光秀「こんなに汗をかいて…頑張ったな」


返事はできなかったけど、目を合わせて微笑んだ。


謙信「………」


謙信様は黙ったままで私の手を握っていてくれる。
光秀さんは私の下半身に掛けてあった布を少し持ち上げ、手を差し入れてきた。

触診しやすいように仰向けになり、膝を立てて足を左右に開いた。


謙信「明智、なるべく……必要以上に触るな。絶対に見るなよ」


嫉妬、不安、焦燥が入り混じった低い声が、光秀さんに向けられた。


ぎゅ…


私の手を握る強さが増した。


(嫌だよね。他の男性に触らせるなんて…)


しかも光秀さんに…。

荒れに荒れているだろう謙信様の心に謝った。

切羽詰まった今の状態では光秀さんの手を借りるしかない。


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