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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第78章 過去からの来訪者


龍輝と結鈴の時は、妊娠は突然の出来事で謙信様に相談することもできなかった。
喜ばしいことのはずなのに、謙信様にも、誰にも打ち明けずに現代へ帰った。


双子です、と言われた時も凄く嬉しかったのに…一人だった。

エコーで姿を見て、大きくなっていく姿に感動しながらも、一緒に喜んでくれる人が居なくて、打ちひしがれて悲しんでばかりいた気がする。
 
ここでは医療機器がないからお腹の中を見ることはできないし、様々な検査を受けることもできない。
『気をつけて暮らす』ぐらいしかできない心配はあるけど、


謙信様が居てくれるなら

一緒に喜んでくれるなら

これ以上のことはない


前の妊娠の時と今を比べて、涙が溢れた。

謙信様はいっぱい待ってくれたし、我慢もしてくれた。でもそのおかげで今、手放しで喜べる。


「謙信様っ、ありがとうございます!
 私、元気な赤ちゃんを産みますねっ!」


鼻をグスグス鳴らしながら言うと、謙信様は身体を離して涙を拭ってくれた。
覗き込んでくる色違いの目が、優しく細められた。


謙信「ありがとうは俺のセリフだ。
 別々に在る俺とお前を、ひとつにしてくれたのだから…」

「ふぇ、そんなこと……ない、です。
 謙信様の方が、頑張ってくれましたよ」

謙信「いや、お前だ」

「ふふ、謙信様です!」


戯れの喧嘩をしながら、私達は場所を忘れて口づけを交わした。

私の嬉し涙を舐めたせいで、謙信様の舌はほんのりしょっぱかった。


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