第77章 聖なる夜は騒がしく
謙信様の温もりが恋しくて机の下でこっそり膝を寄せると、謙信様もさりげなく膝をくっつけてくれた。
『ふっ、舞なら…どんな声だろうが可愛らしいぞ?』
さっき謙信様が言ってくれた言葉を思い出して、顔がにやける。
「ふふ…」
謙信「突然一人で笑い出すな。酔ったのか?」
謙信様と信玄様に顔を覗き込まれた。
「酔ってないです」
信玄「……酔ってるな。顔が赤いぞ、姫」
熱を持った頬を信玄様がひと撫でした。
大きな手から伝わる温もりにホッとする。
(なんだろう、信玄様は声だけじゃなく体温まで落ち着いた感じがする)
謙信「信玄、どさくさに紛れて舞に触るな」
謙信様が信玄様の手をうるさげに払っている。
ぼうっとした頭でそれを見ながら力の抜けた笑みを向けた。
「信玄様の手、大きくて心地良いです」
謙信「っ!?」
信玄「お?脈ありだな。いつでも貸してやるぞ、姫」
謙信「信玄、貴様の手を切断してやる」
「えっ!!?」
切断と聞いて、我に返る。
自分の発言が発端だと気づき慌てて止めに入った。
「えっと、えっと……」
バチバチと火花を散らす二人を交互に見て、とりあえず謙信様の手を取った。
何を言うか決めていないうちに、謙信様に『なんだ』と問われる。
「ごめんなさい!謙信様の手が一番安心します。だから信玄様と喧嘩しないでください…ね?」
酔っていたから自覚していなかったけど、後から佐助君から聞いた話だと上目遣いでお願いする様は、謙信様にとってはものすごく効果があったらしい。
謙信「っ!信玄、命拾いしたな」
信玄「はは、久しぶりに姫の『お願い』を見たな。
こんな可愛い顔で言われたらなぁ、謙信?まあ、飲め」
謙信「信玄……、ワインが残っている湯呑にブランデーを注ぐな!」
信長「騒々しい。もっと静かに飲めんのか」
結鈴「おしゃく、おしゃく~~」
光秀「すっかり信長様に懐いてしまったな?」
結鈴「ふふー。信長様も大好きだけど、光秀さんはもっと大好き」
光秀「あと10年たったら考えてやる」
結鈴「10年〜?」