第77章 聖なる夜は騒がしく
龍輝「大きいかまくらはちょっと前から作ってたよね。小さいかまくらは昨日から!」
結鈴「ちっちゃいかまくらは、昨日から雪のお山だけ作っておいて、今日、皆で穴をあけたんだ~~」
「みんな?」
龍輝「うん、皆。全員」
「え、信長様達も?」
結鈴「うん、皆!」
さっき夕食の時に信長様と光秀さんが納得したような顔をしていたのは、クリスマスは家族や恋人と過ごし、クリスマスプレゼントという贈り物を…という話をしたからだ。
謙信様や子供達がせっせとかまくらを作っていた意味を、あの時に知ったのだろう。
「あとでお礼を言わなきゃ……」
蝋燭の光が揺らめき、小さなかまくらの中は明るい。
ぼんやりと照らされた道は提灯が無くても歩けそうだ。
真っ白な景色の中を、温かい火で照らされた道が遠くまで伸びている。
吹く風で粉雪がふわっ舞い、それが月明りでキラキラと輝き、幻想的だ。
(綺麗、凄く………)
ほぅ、と吐いた息が真っ白に曇った。
人の手が加わった自然の風景に、寒さを忘れて見とれた。
星がこぼれんばかりに輝き、本当にサンタクロースが現れそうな夜空だ。
(すごくロマンチックな夜…)
「謙信様、素敵な夜をありがとうございます」
謙信「メリークリスマス、舞」
「メリークリスマス、謙信様。ん……」
冷たい唇同士が触れ合った瞬間に熱を生みだす。
暗がりで見つめてくる色違いの瞳に心奪われた。
数歩先に子供達が居るのに胸がドキドキして止まらない。
手を引いてくれる謙信様の手をきゅっと握った。