第77章 聖なる夜は騒がしく
謙信「こんなに震えて、寒いだろう。これで少しは温かいか?」
「はい……」
外套の中に入り、温もりを分けてもらっていると震えが少し治まった。
「ありがとうございます。
謙信様が優しいって言っても、誰も信じてくれないんですよ?こんなに優しいのに酷いです」
謙信「当たり前だ。優しくしているのは舞と子供達だけだからな」
謙信様が喉を震わせて笑ったので、小刻みな振動が伝わってきた。
謙信「だがそのせいでお前を苛めて、困らせているのではと疑われる。
舞を慕っているあいつらに時々してやられるのは困ったものだ」
「え?何かやられちゃったんですか?」
謙信「心配ない。他愛もないことだ」
「そうですか?こんなに優しくしてくれてるって教えてあげたいです。惚気になるので言いませんけど…」
謙信「ふっ、恐らくあいつらはわかっている。わかっているから憎たらしくなり、だからわかっていないフリをして俺にちょっかいを出す」
「………?」
意味ありげな言葉に首を傾げていると、遠くから声が響いた。
龍輝「ママ!いーよー!!」
結鈴「早く見てー!!」
愉しげな声がする方を見ると……
さっき見た暗い景色が一変してしていた。