第77章 聖なる夜は騒がしく
信長「そんなことは良い。
珍しい調味料を振舞うとは今宵は何か祝いの日か?」
「ええ、今日はキリスト教の神様、イエスキリストという方が生まれた日なんです。
500年後の日本では宗教の枠を越えて、家族や友人、恋人と一緒に過ごし、宴をしたり逢瀬をしたりするんです。
クリスマスプレゼントという贈り物を贈りあったりするんですよ」
信長様と光秀さんが何故か納得したような表情をした。
(?)
信長「ふむ、イエスキリストという名は南蛮の宣教師達から聞いた事があるな。
国ではその者の誕生した日に『教会』で、大きな『みさ』を開くと言っていた」
「そうです、信長様!500年後でもキリスト教の信者の方達はそうしてお祝いしています。
私はお祝い気分を味わおうくらいの軽い気持ちなんですが、去年はできませんでしたのご馳走?にしてみました」
謙信「舞、いつまで話している。戻ってこい」
「あ、はい」
光秀「やれやれ、お前も忙しいな。もう行け」
苦笑した信長様と光秀さんに促され、席に戻ると謙信様が不貞腐れて待っていた。
薄い唇がほんのすこーし尖っている。
(ふふ、可愛い)
謙信「舞、今『可愛い』とでも思っているのだろうが、後で覚えておけよ?」
「さ、さあ、なんのことでしょう」
知らないふりをしてそそくさと座る。
謙信「この色合いも香りも久しぶりだ」
信玄「懐かしいな、あっちで食べたクリスマスケーキは絶品だった」
龍輝「ケーキないの?」
結鈴「イチゴ食べたいな」
「うーん、イチゴは難しいけど、頑張ればホットケーキくらいは作れるかな?」
龍輝・結鈴「「食べたい」」
信玄「俺も食べるぞー」
謙信「信玄、お前は自分で作れ」
信玄「いいじゃないか、な、姫?」
「そうですよ、謙信様。家族分作るなら全員分作っても手間も時間も変わらないものですよ」
信長様達は初めて、謙信様達は現代を思い出すオムライスの味を楽しみ、賑やかにクリスマスの夜は更けていった。