第76章 姫の好奇心(R-18)
(第三者目線)
―2週間後
「け、謙信様っ!!!」
謙信「どうした?」
運悪く謙信の鍛錬に付き合わされていた信玄が表情を和らげた。
家から出てきた舞が小走りに駆けてくる。
薄茶の髪が風にさらわれて美しく靡いた、
信玄「おっと、姫が謙信に用事があるみたいだな。ということで鍛錬は中止だ」
鍛錬をやめる理由ができたと信玄がここぞとばかりに太刀を鞘に戻した。
怪訝な顔をして謙信も刀をしまい、歩み寄った。
謙信「どうした?そんなに慌てて走ると転ぶだろう?」
走ってきた勢いを受け止め、謙信はひと回り小さい手を握ってやった。
「鍛錬のお邪魔をしてすみません。あのっ、『あれがきた』んです。
残念なことではありますけど、今回は少し安心したというか……」
謙信「っ、そうか……安心だな」
媚薬の影響を危惧していた二人は、できるなら妊娠していなければ良いと憂いていた。
まだかまだかと待ちかねていた生理がきたことで、二人は大きく息を吐いた。
「ごめんなさい、謙信様。
私のくだらない好奇心で迷惑をおかけしました」
謙信「もう良いと何度言えばわかるのだ?
お前が無事であればよい」
しおらしく謝る妻に、謙信は耳元で囁いた。
謙信「月のものが終わるのが待ち遠しい、な?」
「!?~~~~っ」
言葉を理解して一瞬の遅れの後、舞の顔がぼっと赤く染まった。
なおも謙信は呟く。
謙信「交わした約束を果たしてもらおう」
『上に乗ってもらう』という約束を思い出し舞は唸った。
「う~~~~~~~」
信玄「どうした、姫?そんなに顔を染めて」
気をきかせて離れていた信玄が二人に歩み寄った。
「信玄様……」
助けを求めて一歩そちらに行こうとすると謙信の手に阻まれた。
謙信「逃がさない。約束したからな」
「う………」
信玄「何をそんなに困らせているんだ?
姫が可哀想だろう。俺がやれる事なら代わってやろうか?」
事情を知らない信玄が爆弾を落とす。