第76章 姫の好奇心(R-18)
(これで守れたかどかはわからないが、できることはした)
クチュ……
蜜口に指を入れ、昼間の子種を掻き出しにかかる。
無意味な行為だろうが、ナカに留まる子種が少ないに越したことはない。
蜜口からややはずした場所に放たれた子種が尻の方に流れ、布団を汚している。
何度も交わった後だというのに、我慢の果ての絶頂だったせいか量が多い。
汗を拭き夜着を着せてやる。
謙信「舞は俺に我慢をさせる天才だな」
「ん~、謙信様」
舞はムニャムニャと口を動かし、布団を俺だと勘違いして頬を擦り付けている。
寝仕度を済ませて舞を抱きしめた。
謙信「こら、それは布団だろう?俺はこっちだ」
「ん……」
腕の中で眠る舞は安らかで、さっきまでの艶やさは欠片もない。
謙信「貴重な姿を見られたのやもしれないな。
願わくば素面(しらふ)の時にも乱れて欲しいぞ?」
顔を真っ赤に染めて『覚えていませんっ』とでも言うのだろうが、そんなところもまた可愛らしい。
従順なようで言うことをきかないところが、たまらない。
謙信「どんな姿も、どんな行いも受け止めてやる。
舞とて、随分前からそうしてくれただろう?」
情けないところばかり見せた俺を呆れるでもなく受け止めてくれたのは舞だ。
自然と笑いが漏れた。
謙信「夫婦とは良いものだな。
お前と支え合い生きていけること、嬉しく思っている…」
偽ることなくお互いの良いことも悪いことも晒して生きていく。
安心しきった寝顔を見つめ、謙信は柔らかく微笑んだ。
もし越後に帰っていたなら、と時折思う。
どうしても習慣、しきたりも違い、陰謀、裏切り、戦が次から次へと舞い込んだだろう。
謙信「結局はつまらぬことに努力をさせ、自由を奪い、我慢させただろうな。俺の正室という肩書が、夫婦の形を今とは違ったものにした可能性もある。
ならばこの地に降りられたのは幸いだったのかもしれぬ…な……」
切れ長の目が少しずつ細くなっていく。
長い髪を梳いていた手の動きが次第に遅くなり……止まった。
部屋には甘く湿ったような気だるい空気と、二人の規則正しい寝息だけが響いた。
二人でひとつのように眠っている姿を、小さな行灯の光が静かに照らしていた…。