第76章 姫の好奇心(R-18)
「ふっ、ぅ」
謙信「何も考えるな…、何も」
長い指が涙を丁寧に拭ってくれる。
でも悲しくて申し訳なくて涙は止まらない。
謙信「お前が泣くと…辛い」
指でぬぐうことを諦め、手のひらで頬を撫でられた。
汗ばんだおでこと、冷たくて気持ちいいさらさらのおでこがくっついた。
「謙信様?」
謙信「何も考えられなくしてやる。
今夜は俺のことだけ感じ、ただ愛されれば良い」
「でも……」
謙信「俺がそうして欲しいと言っている。
どんな時も傍に居る。お前が不安ならば取り去ってやる。
だから泣かないでくれ…」
チュッと口づけされた。
こんな優しい謙信様をきっと誰も知らないだろう。
部下である佐助君も、
長年のライバルである信玄様も、
誰も……
謙信「余計に泣くな」
身体の上に覆いかぶされ、泣いたまま口づけを受けた。
温もりに縋りたくなって、舌を懸命に絡ませた。
「ん、ん…」
角度を変え、口内のあらゆる場所に舌を這わせ合う。
その間にも身体の疼きは強くなっていき、ジッとしていられない。
腰を浮かせ、時に揺らしていると、すぐに謙信様に気付かれた。
唇が離れ、一瞬だけ銀糸が繋がり、切れた。
謙信「疼くのか」
「はい」
もどかしくて涙声で頷くと、謙信様が苦笑した。
謙信「いつもなら意地でも『疼いていません!』と言うのにな…。
素直になれば良いものをといつも思っていたが、あっさり肯定されると物足りない」
「今は……」
頭がぼうっとして、いつもの私じゃない。
謙信「ない物ねだりとは俺も随分と俗世に染まったものだ」
「あ……ン……」
歪に結んだ帯をあっさりと解かれ、抜き取られた。
着物をはだけ、襦袢の紐を解けば鋭敏になった肌が現れる。