第76章 姫の好奇心(R-18)
「っ、謙信様、だ、め……」
謙信「疼いて仕方がないのだろう?何も考えられないよう気持ち良くしてやろう。
達してそのまま気を失えば朝になっている……その頃には元に戻っているはずだ」
優しい眼差しが『大丈夫だ』と慰めてくれている。
謙信「舞にとってはあの薬は毒だ。たくさん身体に残っているならばもっと苦痛があるはず。
脈が常より少し速まっているだけで、快楽が前面に出てきている。
おそらく身体に残っている薬は微量だ」
頭を撫でられる度に、ぞわ、ぞわ、と何かが背筋を撫でているようだ。
(こんな状態なのに一晩で治る?)
それに……
もっと不安に思っていることがあるのに怖くて口にできない。
口にできない不安は涙に姿を変えてポロポロとこぼれた。
謙信「………心配するな。
この薬は越後の薬屋でも安価で売られていた。手に入れやすいため、商売で使う者もいれば、個人的に使う者も居ると報告が上がってきていた。
過度に使用しなければ依存性はなく、薬が体内に残って支障をきたしたという話もなかった」
「そうなんですね……」
謙信「500年後のように副作用の明確なデータがあるわけではないが、少しは安心できたか?」
「はい」
謙信様が困ったように眉を下げた。
謙信「安心したという表情ではないな。
ならばこれを教えたなら安心するか?」
「え?」
消えない不安を見破られ、驚いている間に抱き締められた。
「ひゃぁ……んっ。だ、め……さわらないで」
謙信「この薬をある目的のために買い求める者達もいた」
ちゅ……かぷ
「きゃ!ん!!……あぁ、だめ、はぁ」
耳たぶを甘噛みされた刺激で、イった時のように視界がチカチカと光った。
謙信様の話が耳に入ってこない。
謙信「聞け、その者達は子が欲しいために、これを使う」
心臓が大きく跳ねた。