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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第76章 姫の好奇心(R-18)


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蘭丸「見つけた☆まさかと思ったけど、やっぱり謙信殿だった」


宿の塀をこえて身軽な身のこなしで現れたのは蘭丸だった。里山に居る時とは違い、忍び姿だ。


謙信「蘭丸か…。佐助より先に来たか」


宿の中庭で狼煙をあげていた謙信は、蘭丸の姿を認めて立ち上がった。日は傾き、夕暮れ時だ。


蘭丸「逢瀬に出たまま帰らないから探しにきたところでした。佐助殿は港町の東の方を探しています。
 ところで俺達を呼んだのは、どんなお仕事ですか、謙信殿☆」


ここが出合い茶屋であることも、舞の姿がないこともわかりつつ、蘭丸は聞いた。

無駄なことは聞かないのが忍びの基本。

蘭丸は謙信に仕えるつもりはないが、信長の次に舞を大切に想っている。

今、呼び出されて参じたのは、舞に何かあったのだろうと予測してのことだ。

謙信が憂い顔で息を吐いた。


謙信「盛られた薬で舞は体力を消耗し、眠っている。
 薬は全て吐き出させたが、まだ身体に残っているだろう。今日は様子を見て、明日帰ることにする」


蘭丸は大きな目を見開いて息をのんだ。
出合い茶屋で盛られる薬といえば、媚薬。

眉をひそめた蘭丸の気配が鋭いものに変わった。


蘭丸「……言いたい事は山ほどありますけど、舞様をちゃんと守ってください。旦那様なんだから」


切り替わった気配に気圧されることもなく謙信は答えた。
この忍びが天真爛漫なだけの男ではないことは、とっくに気付いている。


謙信「言われるまでもない。龍輝と結鈴にはすまないと伝えてくれ」

蘭丸「大丈夫ですよ。俺が里を出る時、龍輝君は信長様と、結鈴ちゃんは光秀さんの家に泊まろうか、なんてはしゃいでいましたから」


信長と光秀、と聞いて謙信はため息を吐いた。


謙信「致し方ない。世話になると信長と光秀に…」

蘭丸「わかりました。佐助殿には事情を話して、明日までこの周辺に待機してもらいます」


瞬く間に、蘭丸は姿を消した。


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