第76章 姫の好奇心(R-18)
(当たり前だよね)
せっかく毒見をしてくれて、催淫剤が入っているとまで教えてくれたのに。
「馬鹿なことをして……ごめんなさい」
ぽろっと涙がこぼれたので、急いで布団を頭までかぶった。
「~~~~~~~~」
泣いているのを隠して涙を流した。
息苦しい布団の中が、吐き出した息で湿度をあげた。
(泣かない、泣かない、だから女は面倒臭いって思われちゃう)
泣いてる暇があったら許してくれる方法を考えなきゃ。
そう思うのに、それよりも何よりも頭に過るのは『謙信様に軽蔑されたらどうしよう』だ。
嫌だ。どうしようと。
そればかりが頭を占めて、何も考えられない。
謙信「……舞?」
布団をめくられる気配がしたので、急いで布団の淵を掴んだ。
「寒いので捲(めく)らないでください」
繕って出た言葉は、嫌に冷たく響いた。
めくろうとしていた手は離れ、息苦しい沈黙がおりてきた。
気持ちが落ち着くまでそっとしておいて欲しい。
震える唇を噛んで布団を巻き込んで身体を縮めた。
でもそれが駄目だったみたいだ。
謙信「っ、苦しいのか?」
布団がばさっと取り払われ、焦った顔の謙信様に泣き顔をバッチリ見られてしまった。
「………いえ」
謙信「泣いて……いたのか?」
「………」