第76章 姫の好奇心(R-18)
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「はぁ……楽になりました」
謙信様の言う通り、薬を強制的に外に出したことで症状は明らかにに改善した。
幾分鼓動は速いものの、酔った時とそう変わりない程度に治まり、変な汗は徐々にひいていった。
吸収してしまったものはとにかく水分をとって出すしかないと言われ、さっきからお茶と水ばかり飲まされている。
「せっかくご飯を用意してくれたのに、水分でお腹がいっぱい…」
謙信「焦ることはない。食欲が湧いたら食べればよい」
「はい」
謙信様はひと時も傍から離れようとしなくて、こまめに世話をしてくれる。
「せっかくの時間だったのにご迷惑をおかけして申し訳ありません」
謙信「これに懲りたら薬が仕込まれた食べ物を興味本位で口にするな。
今回は催淫剤だったが、死に至る毒薬もあるのだからな」
甘やかしてくれている時と違い、謙信様の表情は厳しい。
「はい、身に染みました。ごめんなさい」
酔いも醒め、自分のした軽はずみな行為に後悔するばかりだ。
身を縮めて謝っていると手首に触れられた。
触れられる度にさざ波のように広がる快感は薄れても、まだそこに熱が集まって疼きを感じる。
(まだ薬が効いてる…)
薬を出すためにできる事はやっているけど、どのくらい薬を吸収してしまったんだろう…。
体内に残るような粗悪な薬だったらどうしよう。
尽きない不安に襲われる。
謙信「大分良いな…。脈の速さが正常に近くなってきた」
謙信様が大きく息を吐くと手首に触れていた手をとった。
「心配かけて、ごめんなさい…」
謙信「まったくだ。今回ばかりはそう簡単に許さん」
え、と俯いていた顔をあげた。