第76章 姫の好奇心(R-18)
謙信「呼吸が苦しい他、症状はないか?」
「は、い」
謙信「触られても平気か?」
着物の上から太ももをひと撫でされた。
「あ…少し、変な感じが…」
少し、じゃなかった。
太ももから全身へ、さざ波のように快感が広がった。
気付かれないように布団の中で足をもじもじと動かす。
謙信「恥ずかしがらずに正直に言え。
どれほど薬に毒されているか判断できん」
手首で触れられ、脈をとられた。
謙信様の背後にお膳や、お酒の徳利が見えた。
(馬鹿なことしちゃった。せっかく二人きりの時間だったのに…)
後悔しても遅い。
謙信「脈が速すぎる…。やはり吐かせる、厠に行くぞ」
(ゆ、指を入れられちゃうのっ?!)
「や、嫌。せっかく食べたのに」
謙信「いつからそんなに食い意地が…」
呆れた口調だったけど一呼吸後には抱き上げられていた。
「ひゃぁっ、ん、んん!」
あちこちに感じる温もりに声を上げる。
ただ触れられただけなのに気持ちいい。
謙信「我慢しろ、すぐに連れていってやる」
「や、やです。吐きたくない」
謙信様に吐かせてもらうなんて死んでも嫌だ。
――――
――
厠の前で説得を頑張ったけど謙信様は考えを曲げない。
謙信「早くしなければ消化が進み、薬が吸収されてしまう。
食後であったこと、茶を飲んだ後だったのが幸いしてその程度だが、この先どうなるかわからない。
辛い思いをしたくなければ吐き出せ」
「うぅ、だって、謙信様に吐かせてもらう方が辛いです。
恥ずかしくて、情けなくて死んじゃうかもしれません」
想像しただけで絶望感しかなく、顔を覆った。
謙信「っ、一瞬で終わる。
それにお前が孕めば悪阻(つわり)に付き添うこともあろう?
予行練習だと思えば良い」
「そんな無茶苦茶な…それに悪阻の時も一人で行けます」
謙信「良いから、言うことを聞け!
脈拍が異常だ。大事な身体にこれ以上負担をかけて欲しくない」
廊下の真ん中で抱きしめられた。