第76章 姫の好奇心(R-18)
「はぁ、酔ってる…。心拍が早いなぁ」
スッキリとして切れのあるお酒だなと思った時に気付けば良かった。
強いお酒ほどそういう傾向にあるのに。
謙信「寝てしまったか?」
障子戸がスラリと開いて、謙信様が入ってきた。
「いえ、起きています。お手洗いに行ってきたら少し酔いが回ってしまって…寝転んでいただけです」
謙信「すまなかったな。酒の強さまで気が回らなかった。
飲み過ぎた時はたくさん水を飲んで外に出してしまった方が良い」
謙信様はお酒の他に水も貰ってきてくれた。
「ありがとうございます。本当は私がやらなきゃいけないのに」
謙信「気にするな。たまには舞を甘やかしたい。家ではなかなかできん」
「ふふ、ありがとうございます」
謙信「先に水にするか?」
「はい、少し酔いを醒ましてからお酒を頂こうと思います」
このまま飲んでもせっかくのお酒の味がわからない気がする。
私はお水を、謙信様はお酒を飲み始めた。
さっきと同じように腰に手を回されて、静かな時が過ぎる。
「ん………」
暑くなって身を捩った。
謙信様と触れあっている部分がこもっている。
(おかしいな。水を飲んでいるはずなのに酔いがさめるどころか余計回ってきた気がする…。騙されてお酒を飲んでいたりする?)
湯呑を覗き込んだけど、匂いも味も水だ。
「???」
謙信「汗をかいているな。暑いのか?」
言われて身を離すと、頬や首、鎖骨の辺りがシットリ濡れている。
「酔ったから……?」
酔ってもこんなに不自然な汗をかいたことなかったのに。気温も熱くもなく寒くもない適温だ。
(なんでこんなに暑いの?)
熱いお茶を飲んだあとにお酒を飲んだからだろうか…。