第75章 異常(R-18)
謙信「舞……顔をあげてくれないか?」
乞われて恐る恐る顔をあげると、目元をうっすらと染めた謙信様と目が合った。
謙信「お前には叶わない…。
出会った頃からそう思ってくれていたのか」
薄い唇から熱い吐息が漏れて、両頬を塗れた手で包まれた。
ちゅ、ちゅっと啄むような口づけが降ってくる。
「あ、ん、謙信様、ん」
口を開けようとすると唇を啄まれる。
(もしかして………)
「ん、て、照れてますか?」
謙信「照れてなどいない。嬉しい、だけだ」
(謙信様が素直に『嬉しい』って言った!?)
滅多にない出来事に声をあげそうになったところを口づけで塞がれた。
「ん?!ん、んん………ん、はぁ」
謙信「身体を清めた時に、子種を掻き出したか」
「い、いえ」
突然話が変わり、面食らった。
ちゅっ…と音をたてて唇が離れた。直ぐにまた唇が触れそうな距離で見つめ合う。
謙信「ならば、掻きだしてやろう」
「いいですっ!」
慌てて身体を離した拍子に、チャプン!と湯船のお湯がはねた。
素肌の腰に回っていた腕に力がはいり、離れた分をひき寄せられた。
謙信「自分でできるのか?あとで溢れてくるぞ?」
「う…」
あそこに指を入れたことさえないのに、掻き出すなんて無理だ。
(それに…)
謙信「浴槽の淵に腰かけろ」
「あ、待ってください」
身体を持ち上げられそうになったので、筋肉質な腕を掴んで抵抗した。
謙信「どうした?腰に力が入らないか」
「違います。その………」
謙信「……」
言い分を聞こうと謙信様が黙ると、壁の向こうの嬌声が耳に響いた。
(共同浴場なのに……凄いな、皆…)
思考を違う方に引っ張られそうになり、踏みとどまる。
「掻きだして欲しく、ないんです」
(せっかくもらったのに、外に掻き出すなんて…嫌)