第75章 異常(R-18)
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謙信様は一旦お湯からあがり、身体を洗いながら事情を聞いてくれた。
謙信「大方そうなるだろうとは思っていたがな」
洗った髪を後ろにかきあげると一瞬オールバックになり、すぐにサイドの髪がこぼれて頬に落ちた。
(絵になるなぁ)
額や頬のお湯の雫、一粒までカッコイイ。
「まさかこういう造りだとは思っていなくて…」
顔の赤みが消えるわけでもないのに、浴槽のお湯で顔をばしゃばしゃ洗う。
ざぶっっとお湯が揺れて、謙信様が浴槽に身体を沈めた。
「それにしても……その……わわ」
言葉を濁してごにょごにょ呟いていると、腕を引かれた。
3人くらいは余裕で入れる浴槽の中で向き合って座る。
長い足と、腰のあたりにゆるッと巻き付いた腕に囲われた。
謙信「なんだ?聞こえなかった」
真正面から見つめられて、余計頬がぼぼっと赤くなった。
(いつも思うけど、濡れた謙信様って色っぽい!)
どんな時も素敵だけど、濡れていると雰囲気が違って見えるというか、滴り落ちる水滴が素敵というか。
(う、クラッとする。
旦那様が、水も滴(したた)るイイ男すぎて、こ、困る!!)
格好よすぎて参っちゃうなんて、誰にも言えない。
でもカッコイイって叫びたい。
「ここで聞いていただけで、3組くらいカップルが来たんですけど、わけ有りカップルばっかりなのに、なんていうか……凄いなぁと」
謙信「何が凄かったんだ?」
「や、そんなサラッと聞かないでください!
恥ずかしい!」
謙信「突然怒り出すとは何事だ。わかるように言え」
謙信様が呆れかえっている。