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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第1章 触れた髪


咄嗟に左手で風呂敷包みをかばい、右手で地面に手をつこうとした。
地面を見ていた視界に男物の草履が映り、気づくと力強い腕に抱きとめられていた。


(あ…お香の匂いが…)


目の前には謙信様の着物の合わせ。

ゆっくりと視線をあげていくと、均整のとれた顔立ちが目の前にあり、色違いの瞳と視線がぶつかった。
透き通った色合いに太陽の光が当たって息を呑むほど綺麗だ。


「綺麗……」


思わず口から本音がポロリと出てしまった。


謙信「…何か言ったか?」


じろりと睨まれて我に返った。
なんでもないと首を横に振り、頭を下げた。


「い、いいえ!なんでもありませんっ。
 あの、ありがとうございました。この荷物、絶対汚したくなかったので助かりました」


体勢を整え、気恥ずかしさを隠して風呂敷包みを抱きしめた。


謙信「勝手に追いかけてきて、転びそうになるとは世話の焼ける女だ。
 一体お前は何がしたいのだ」


私から手を離し、謙信様はまた歩き始めた。
その足はさっきより随分とゆっくりで、きっと私を気遣って下さっている。


「この間、蜂から助けてもらったお礼がしたかったんです。
 謙信様にとっては大した事じゃなくても、私にとっては命を助けられたんですから」

謙信「俺はお前のために何かした覚えなどない。礼の必要もない」


横に並んで歩く私を、面倒そうに見ている。


(うーん、あまり押しつけがましくお礼をしたいって言うのも迷惑だよね…)


どうしようかと悩んでいると、


謙信「もう行け。俺は用がある」

「そういえばどこへ行くところなんですか?」


敵地で用があると言うと、なんだろう?と疑問に思い聞いてみる。

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