第72章 おまけ
★姫の年末年始★彡1月3日編
(姫目線)
「あ、見えた!安土城だ!!」
見慣れたお城の姿が見えて、嬉しくて馬の上でピョンとお尻が跳ねた。
昨夜はたいして進まないうちに日が落ちてしまい、仕方なく宿をとって泊まった。
今日は約束の1月3日だ。なんとしても安土に帰らなくてはと使命感に燃えていた。
兼続「落馬したいならそう言え」
「う、したくないです。すみません」
帰蝶さんの元を去り、佐助君が向かった先で兼続さんが馬を用意して待っていた。
佐助君は何かあった時のために機動性重視で馬に1人で乗り、兼続さんは私を乗せて雪深い道を巧みな手綱さばきで乗せてくれた。
横座りをしているので、バランスをとりにくくてハラハラしていると、兼続さんが『俺に寄りかかれ。ただし、ぴくりとも動くな』とありがたいようで難しい言葉をくれた。
話しかけても『お前と話す気はない』なんて冷たく突き放された。
(佐助君…謙信様以上に難しいよ、兼続さん…)
しょんぼりと肩を落としているうちに安土城下に辿り着いた。
人が行き交う城下町を馬で歩くのは目立つ。
馬からおろされ、徒歩で城門近くまで送ってくれた。
「ここまで送ってくれてありがとうございました。
あそこに門が見えていますし、もう大丈夫です。見つからないうちに帰ってくださいね。
今は何もお礼ができませんが、いつかお礼をさせてください」
佐助「お礼なんていいよ。もともと謙信様のわがままから始まったことだから。
それに君が攫われたのは油断していた俺達のせいだ。気にしなくていい」
兼続「だがあんなに騒ぎになっていて眠っているというのはどうかと思うがな」
「う…す、すみません」
出会った頃の謙信様並みにブリザードが吹いている。
冷たい眼差しに身が縮んだ。