第72章 おまけ
元就「昼餉は済んだのか?…って、何おままごとごっこしてんだよ」
帰蝶「ままごとではない。髪も化粧も乱れていたから直してやったまでのこと」
元就「ふーん」
帰蝶さんは部屋を出ていってしまい、元就さんとの間に気まずい沈黙が訪れた。
(この人……苦手…)
ジロジロと無遠慮に見てくるけど、一歩も近づいてくる気配はない。
元就「その化粧一式もらったのか?」
「はい…お年玉代わりだそうです」
元就「へぇ、じゃあ、俺も何かくれてやる」
「?」
元就「正月早々誘拐された不憫なお姫さんだからな。施しをしてやるよ」
「ほ、施しなんていりません!」
元就さんの言い方はいつも私の神経を逆なでする。
元就「まぁ、そう眦をあげて怒んなよ。
ほら、南蛮から入ってきた足首を温める布と、30000ぽいんとだ」
渡されたのはあったかそうなレッグウォーマーと、ポチ袋に入ったポイント。
受け取ったものが信じられなくて、品物と元就さんを交互に見てしまった。
元就「単純に、この乱世を乗り切るには『ぽいんと』が物を言うだろう?
ゆるふわ男に続いて、もうすぐ新しい誰かを攻略しなきゃなんないしな?」
「う………」
元就「はっ、正直なお姫さんだ。落とさないように懐に入れておけ。
それと早くその布を足につけておいたほうがいいぜ」
そう言うと元就さんは部屋から出ていった。
「???」
よくわからないけど、言われた通りぽち袋は胸元に入れ、レッグウォーマーを付けた。