第72章 おまけ
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兼続「……なるほど、これが低反発枕か」
「素材はなんでしょうね?」
兼続「厳重にくるんで中身がわからないようになっているな」
「あ、むりやり中身を出さないでくださいよ!
壊れたら悲しいです…」
客室に案内され、枕に興味津々の兼続さんに『枕、触ってみますか?』ときいたら、素直に応じてくれた。
兼続「佐助のやつに聞くしかないな」
「ふふ、兼続さんって珍しいもの好きなんですね。
せっかくだから試しに寝転んでみたらいかがですか?」
兼続「いや、いい。今夜、お前が使う枕を先に使うのはためらわれ…」
「いいからいいから♪」
兼続「お前っ…男を押し倒す姫がどこにいるっ」
「私は姫じゃないよ。普通の庶民生まれの庶民育ち♪」
兼続「?」
なんだか頭がはたらかない。
酔っているし、なんだかんだで疲れがたまっているせいかもしれない。
「どうですか?枕の感想!」
兼続「悪くない…」
「えー、せっかく寝たのにそれだけですか?つまんない!」
兼続「何故俺がお前を楽しませなくてはいけないんだ。
さっさと寝ろ」
「はーい」
兼続「馬鹿っ、謙信様より頂いた晴れ着で寝るつもりか!?
今、女中を呼んでくるからっ……寝てるな」
舞の部屋に大きな大きなため息が響いた。
こうして私の1月1日はハプニング続きで、まさかの春日山城にお泊りとなった。