第72章 おまけ
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その後は広間に戻って宴を楽しんだ。
私の正体がわからずとも、謙信様達と仲良く飲んでいるうちに家臣の人達も気を許してくれて、賑やかな宴になった。
謙信「頬が火照っているぞ?飲み過ぎたか?」
「大丈夫です」
お酒を休憩してお水を口にする。
(二日連続できついな)
しかも昨日は飲み過ぎて、今朝二日酔いだった。
クラクラする頭で視線を巡らせると佐助君から貰った枕が視界に入った。
「そう言えばこの枕、低反発なんだよね。どんな感じかな」
重みのある枕をとって感触を確かめる。
「わあ、本当に低反発…」
頭を乗せてみたくなったけどここではできないので抱きしめてみる。
(はぁ、気持ちいい感触………)
なんだか眠くなってきた。
信玄「姫?あぁ、可愛いな。眠くなってしまったか」
幸村「無理やり連れてこられて疲れたんでしょうよ」
謙信「このような愛らしい顔を他には見せられん。
俺が寝所に運ぶ」
佐助「謙信様、同意もなく自室に連れ込むのはマナー違反です。
おれが客室に連れて行きます」
謙信「まなー?」
信玄「佐助、口調は普通だが幸と同じで酔っぱらってるだろ。
兼続、舞を部屋まで送り届けてやってくれ。
お前はたいして飲んでいないだろう?」
兼続「……」
信玄「枕…」
信玄が意味ありげに視線を送り、兼続は仕方ないと言った体(てい)で舞に手を差し出した。
兼続「転ばないよう、手をとれ」
「はい」
兼続「謙信様に挨拶しろ」
「はい」
くるくる回る視界と、フワフワした酔いの感覚に、兼続さんが言うとおりに謙信様に挨拶する。
「謙信様、先に休むことをお許しください」
謙信「気にするな、佐助が無理をさせたな」
佐助「……ものすごく不本意だ。俺のせいなのか?」
幸村「はは、佐助もむくわれないな」
「突然押しかけて泊めてもらうなんて…ありがとうございます。
謙信様の都合がよろしければ、明日、お庭で一緒にうさぎを見たいのですが、よろしいですか?」
謙信「ああ、もちろんだ」
「ふふ、楽しみです」
謙信「俺もだ。さあ、早く部屋に戻って休め」
「ありがとうございます。あ、枕、枕♪」
兼続「それは俺が持つ。真っすぐ歩けよ」
「はい」