第72章 おまけ
一目散に湯殿に行き、身体を清めた。
着てきた晴れ着が気になって仕方なかったけど、お風呂から上がるときちんと畳まれて置かれていてほっとした。
女中「姫様、着替えを手伝います」
着物以外にも襦袢も足袋も新しいものが用意されていた。
「わぁ……この着物、すごく美しい色合いですね」
信長様が贈ってくれたものは赤を基調としていたけど、謙信様が用意してくれたのは青を基調としている。
濃淡ある青が、艶を放って美しく輝いている。
「ふふ、越後の清浄な雪を思わせますね…。綺麗…。
謙信様が選ぶ着物はどんなだろうと思ったのですが、とっても素敵です」
女中「謙信様が女性に着物を選ばれるなんて、今までになかったことです。
私達も驚いております」
見たこともないくらい美しい帯が用意されていて、気後れしてしまう。
「この帯…凄く綺麗ですね。帯飾りの代わりにこの布をリボンみたいに結ぶんですね…。
この時代にないセンスだなぁ…。凄い、謙信様…」
見た目も、性格もめっちゃくちゃ怖そうだけど、贈ってくれたものは繊細で斬新だ。