第72章 おまけ
――――
――
お風呂に入って着替えているうちに日付が変わってしまった。
でも新年の宴はまだ続いていて、例年だと朝までやるとのことだった。
義元「準備できた?俺が大広間に案内するよ。
ああ、その着物は美しいね。君が着ると猶更輝くようだ」
「よ、義元さん。待っていてくれたんですか?
ありがとうございます。
こんな立派な着物、私にはもったいなくて…」
義元「その着物はね、謙信が君のためにと以前から用意していたものなんだよ。
だからもっと胸を張って、謙信に見せてやって欲しい」
「そうなんですか?わ、わかりました」
突然こんな綺麗な着物や帯が用意できるわけない。
(いつ来るかも知れない私のために、謙信様が用意してくれていたんだ……)
それを知って胸がくすぐったくなった。
「義元さん、教えてくれてありがとうございました。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」
義元さんは口元に色っぽい笑みを浮かべた。
義元「こちらこそよろしくね。
君と会うのはいつも城下だから、春日山城にいるなんて不思議な感じがするよ」
「ふふ、信玄様にも同じようなことを言われました」
義元「ここは男ばかりだからね、君のような美しい花が来てくれて嬉しいよ。
毎年、いや、毎日こうだと良いのに」
「…もう、義元さんはお上手ですね」
義元「本当のことだよ…。広間に着く前にお年玉を渡すね。
はい。秘密の棚50個と幸福の秘薬10個。荷物は安土に届けさせるよ」
「ありがとうございます!これでしばらく思う存分城がちゃできます!!」
義元「ふふ、良かった。
さあ、ここが大広間だよ。新年の宴が開かれているから春日山勢の重鎮が大勢集まっている。顔は…隠す?」
「隠した方がいいですか?隠すと、余計見たくなるのが人の心情だと思うのですが…」