第72章 おまけ
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幸村が案内してくれた客間で晴れ着を直し、髪を撫でつけた。
「はぁ。まだフワフワする…お風呂に入りたい…」
信玄「姫、入ってもいいか?」
「は、はい!!」
丸めていた背中をピッっと伸ばして信玄様を迎え入れた。
襖がすっと開いて信玄様が現れた。
信玄「まさか昨日の今日で、本当に君を越後に連れてくるとは、佐助もよほど無理しただろうな。
疲れていないか?姫」
「少し疲れましたが、佐助君が斬られてはいけませんから。
頑張ります」
信玄「ははっ、そんなに気合いれなくてもいいさ。
謙信はいつも斬りかかる理由を探しているからな。今回は運悪く理由が君だっただけだ」
「謙信様も相変わらずですね。
あ、こんな夜更けに言うのもおかしいですが、明けましておめでとうございます、信玄様。今年もよろしくお願いします」
信玄「明けましておめでとう。正月に、春日山でこうして君に会えるなんて、謙信のわがままもたまに良いものだな。
さて、君が来ると聞いてささやかだがお年玉を用意しておいた。
艶紅(1000)を50個だ。荷物は後でまとめて安土に届けさせるよ」
「わぁ……次のイベント頑張ります」
パシン!
謙信「舞、城に着いたなら何故真っ先に俺のところに来ない?」
横にどかっと座った謙信様に、腰をひき寄せられた。
「え?わ?ちょ、ちょっと休憩を…」
謙信「休憩なら俺の隣でとれば良いだろう?」
「や、ち、近いです、謙信様っ!」
(謙信様の隣でなんか休憩とれないよ!)
久しぶりに会ったけど、相変わらずオーラがある人だ。
信長様並みに威圧感半端ないこの方の隣で休憩なんてとれない。
「あんまり近づいちゃ駄目です。移動ばかりで汗をかいちゃいましたし…」
汗くさいなんて思われたら嫌だ。
謙信「気にしなくとも良い……だがその晴れ着の色は好かん。
舞を湯殿へ案内しろ」
女中「はい」
「え?」
謙信「行ってこい。その間お前に会う着物を用意しておく」
「その晴れ着、信長様が贈ってくれたものなのに………」
謙信「何か言ったか?それ以上言うなら、お前が風呂に入っている間にその晴れ着を燃やしてやるが?」
「いってきます!」
(こ、こわっ!そうだった、謙信様はこういう人だった!)