• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第72章 おまけ



「あ、明けましておめでとうございます。兼続さん」

兼続「挨拶の前に身なりを気にしろ。
 そんな格好で謙信様に会いに行く気か」


労いのひとつもくれない、つれない態度は相変わらずだ。


(もう帰りたい)


凹んでいると佐助君が『俺が担いできたせいです』とフォローしてくれた。


幸村「お、やっときたか。謙信様達が待ってるぞ、早くこい」


走ってきた幸村が、これまた気遣いひとつない言葉を寄こす。


「幸村、明けましておめでとう。
 でもちょっとだけ待って。もう、ボロボロなの。休憩が欲しい」


げっそりしている私に、幸村がため息をはいた。


幸村「佐助、お前、馬で迎えに行ったんじゃなかったか?」

佐助「雪が酷くて徒歩に切り替えたんだ。
 客間に通して、少し休んでもらおう」

兼続「四半刻だ。それ以上休めば今日が終わる。
 謙信様は『今日中』に、そこの女に会いたいと言ったからな」


(容赦ない~~。謙信様の命令は絶対だもんね、兼続さん…)


おぼつかない足取りで門をくぐり、お城に上がらせてもらった。


「わぁ……春日山城に初めてお邪魔したけど、凄く趣がある建物だね」


安土城は新しいお城だけど、春日山城は歴史を感じる古さがある。
使われている柱ひとつにしても年月を経た良い味が出ている。


兼続「当たり前だ。どこぞの風情も何もない派手な城とは違う」

「は、はい、そうですね」


(だ、駄目だ。兼続さんは何を言ってもつっかかってくる…)


なんで安土の姫がここに、と思っているだろうな。

私のことはてんで無視して兼続さんは草履を脱ぐとさっさと姿を消してしまった。


「まだ攻略できてないからなぁ…」

佐助「大丈夫、兼続さんは謙信様並みにとっつきにくいけど、慣れれば…」

「ほんとにちょろい、の?全然そんな感じしないけど」

幸村「何、攻略がどうのこうの言ってんだ?早くあがれよ」

「う、うん、お邪魔しまーす」


私の間の抜けた挨拶が暗い城の玄関に響いた。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp