第72章 おまけ
「突然お邪魔して、すみませんでした」
顕如「気をつけて帰れ」
挨拶を済ませて駕籠に乗ろうと屈んだ時だった。
グイ
「え」
駕籠に乗るつもりで屈んだのに、私は誰かに担がれた。
蘭丸「舞様!」
佐助「ごめん、舞さんは、借りていきます。
遅くても3日には安土に送り届けますので、安心してください」
「え?この声、佐助くん?」
佐助「ごめん、上司命令だ。逆らうと斬られるんだ。俺を助けると思ってついてきて」
「上司?斬られるって…まさか」
脳裏に浮かぶ物騒なあの方…。
「わ、わかった!ちゃんと安土に届けてくれるなら行くよ。
蘭丸君、信長様達にはお友達の家に遊びに行きますって伝えておいてくれる?」
担がれているから、蘭丸くんは見えない。
蘭丸「その人、越後の忍びだよね?」
「それ以前に同郷で、大事な友達なの。
絶対3日までには、帰るから!」
佐助「今日中に越後に行かなきゃいけない。
じゃあ蘭丸さん、よろしくお願いします」
蘭丸「今から出発して今日中に?」
佐助「強行軍です。行くよ、舞さん!」
「顕如さん、蘭丸君、またね〜!!」
声を掛ける暇もなく舞の声が遠ざかっていく。
顕如「騒々しい、か。信長と同じ感想を持つのは気に食わんが、その通りだな」
蘭丸「あ〜あ、大丈夫かな、舞様」