第72章 おまけ
「新年の挨拶をしたいと蘭丸君に我儘を言いました。
明けましておめでとうございます、顕如さん」
顕如「お前は…信長と俺の関係を知っていて挨拶に来たのか」
「それはそれ、これはこれです。
私は顕如さんのこと、優しいお坊さんだと思っているので」
顕如「仕込み刀で脅されたというのに?」
「あれはまぁ、事故のようなものです。
全然気にしていませんよ、フフ」
笑ってみせると、部屋の雰囲気がふと柔らかくなった。
顕如「お前のような姫を抱え、さぞかし信長も手を焼いているだろうな」
「騒々しいって、よく言われます」
顕如さんの手が伸びてきた。
頬ではなく髪に触れられ、その拍子にお線香に混じった上品な香りがした。
(け、顕如さんって良い香り…)
顕如「簪が曲がっていた。蘭丸に担がれたか?」
「あ、はい…」
顕如「舞にはもう少し色味が薄い着物が合いそうだが、よく着こなしている。
新年早々、晴れ着を着たお前に会えるとは思っていなかった。
明けましておめでとう、舞」
まさか挨拶を返してくれると思わず、じわじわと嬉しさがこみ上げてくる。
蘭丸「良かった。そうだ、俺からのお土産だよ。
全武将ボイスつきメッセージ新年の挨拶ver.★」
「えぇ!?課金無しなのに、なんて豪華な…。
ありがとう、蘭丸君」
顕如「はるばる来てくれた舞にお年玉をやらなくてはな。少し待っていろ」
「あ、お気づかいなく…」
顕如「これぐらいしかなかった、受け取ってくれ。
餅つきを楽しむ全武将集合アクスタだ」
「な、なんでこんなものを顕如さんが……
わぁ、でもかわいい!慶次と、秀吉さんがお餅ついてる!政宗と三成くんがお供え餅作って…。謙信様と、信玄様、信長様はお餅焼いて食べてるし…」
胸が浮き立つお年玉を貰い、蘭丸くんに促されて外に出た。