第72章 おまけ
★姫の年末年始★彡元旦編
(姫目線)
新年が明けて1日目。
女中さんに起こされると頭がズキズキした。
(どうやって部屋に戻ってきたかな)
全然覚えてない。
二日酔いのまま晴着に着替えた。
いつもの着物とは勝手が違うので、昨日に引き続き、着付けと髪は女中さんにお願いした。
着付けしてもらいながらお話していると、宴の開始時間まで一刻もあるのに、広間には織田家に仕えるお偉方が集まり始めているらしい。
女中「お綺麗ですよ、舞様。お化粧はよろしいのですか?」
「はい、お化粧は自分でできますから!
パパっと仕上げますね!」
この時代のお化粧は、なけなしの美意識が許さない。
白粉はオークルもナチュラルも選べない、一択の白!
紅だって、ベージュ、ピンク、オレンジ系なんてない。微妙な違いはあれど、ほぼ真っ赤。
選択肢が無さすぎて、この時代の姫は化粧をしたら、皆同じ仕上がりになるんじゃないかって思う。
タイムスリップの時に持ってきた化粧ポーチを取り出した。
女中さん達や城下ですれ違う女性達を参考に、奇抜過ぎない化粧にする。
流石に現代の化粧をそのまましたら、変人扱いされるだろうから……
一応安土の姫だもの。
信長様達に恥ずかしい思いはさせられない。
そうこうして仕上げた私は広間に案内され、信長様に昨晩の非礼をお詫びして、新年の挨拶を済ませた。
滞りなく宴の席となり、私はずっと信長様の隣に座らされお酌をしていた。
大広間には大勢の人間が集まり、とても賑やかだ。
信長「その化粧は貴様がしたのか?」
新年の挨拶をする列が途切れ、二人だけの会話ができる。
「はい。どこかおかしいでしょうか?」
信長「おかしくはない。貴様らしいと思ってな…」
「ふふ、ありがとうございます」
緋色の瞳が少しだけ和らいでいる気がして、こそばゆい。
視線を落とすと豪奢な晴れ着の生地が見えた。
(あ、お礼を言わなきゃ)
帯も簪も全部、全部信長様が贈ってくれたものだ。
口を開きかけたところで、私の前に秀吉さんが進み出た。