第72章 おまけ
「政宗が作った料理なら美味しいに決まってるじゃない。
気を使ったんじゃなくて、純粋に美味しかったんだと思うけど」
手を合わせて『いただきます』と挨拶をして舞が酢の物に口をつけた。
「美味しい!疲れた時は酸っぱいものだよね~。
酸味と甘みが丁度いいよ、身体に染みわたるなぁ」
このお吸い物、出汁が上品!
お煮しめ最高~!味が染みてる!
大根とニンジンをたらこで炒り煮?美味しい~。
なますはこの時代からあるんだ。嬉しい
などなど一品ごとに感想を述べていく舞を政宗は興味深く眺めている。
「う、辛いっ!これ家康のだね?」
政宗「どうだ?」
「多分だけど、もっと辛い方が家康好みだと思う。
辛さが塩味を補うからもう少し薄味でも良いんじゃないかな?
この時代の料理は塩分過多になりがちだから…って言えば、健康志向が強い家康なら納得するんじゃないかな」
政宗「あいつが?健康志向が強い?」
政宗が目を瞬かせた。唐辛子ばかりかけて食べているやつのどこが、という顔だ。
「うん、だってお部屋に遊びに行くと、いつも生薬を煮たてて作った薬湯を飲んでるよ。
その日の体調に合わせて調合しているって言ってたし。
料理にかけている唐辛子も、体調によって使い分けているらしいよ」
政宗の目がキラリと光った。
政宗「へえ、そうなのか。
今後家康の料理は薄味でいこう」
「あ、光秀さんも薄味で良いと思う。
だって濃い口か薄口かなんて、多分気にしないと思うから」
政宗「やっぱりお前に味見を頼んで正解だったな。
塩をとりすぎるとどうなるんだ?」
「えっとね、……なって、……なることも、それで……」
政宗に説明しながら舞の箸はとまらず、結局すべての小皿を完食した。
「うー、お腹いっぱい。政宗、ご馳走様」
前掛けの上からお腹を押さえて舞が立ち上がった。
政宗「ありがとな、お前の意見を参考に明日の料理を微調整する」
「どういたしまして。政宗、いっぱい美味しいものを作ってくれてありがとう。
来年もよろしくね」
政宗「気が早い挨拶だな。来年もよろしくな。
また夜の宴で会おう」
「うん!」