第72章 おまけ
――――
――
「よし、次は……」
舞が次なる場所へ向かおうとしていると、厨の暖簾がひらりと揺れ、政宗が現れた。
政宗「よお、ちょっと手伝ってくれ」
「いいよ」
掃除用具一式を廊下の片隅に置き、手を洗ってから厨に入った。
厨は今夜の宴の準備と、明日の新年の宴に備えて大忙しだ。
ピリピリした雰囲気が漂う中、片隅の台にズラリと並んだ料理の数々。
政宗は舞をその前に座らせ、腕組みをした。
政宗「これは新年の宴用の料理だ。
明日に備えて試作してみたが、味見をしてくれ」
「え?これ全部!?凄い数の料理だね」
小皿に少しずつとられた料理は30を超えている。
政宗「それぞれ好みがあるからな。一人あたり15品前後だ」
「すごいね…。
新年の宴って今回初めて参加するけど、いつもの宴とは違うんだね」
焼き魚の皮の色を見ればおそらく鯛だ。
お吸い物、煮しめ、あえ物、どれもいつもの宴より素材がランクアップしている。
政宗「一年の始まりを祝うんだ。いつもより気合が入るのは当たり前だろう?
さ、率直な感想を聞かせてくれ。さっきここに居る連中にも味見してもらったが、俺に気を使って『美味しい』しか言わない」
政宗が呆れ混じりに呟いた。