第72章 おまけ
信長「今日中で良いというのに忙(せわ)しいやつだ」
蘭丸「新年の宴では政宗さん達が舞様にお年玉を計画していますよ。
信長様も用意しているんですか」
信長「用意はしてあるが、今日のはたらきの分も入れねばならんな…」
思案している信長を蘭丸がおかしそうに見ている。
蘭丸「信長様がそんなに悩むなんて珍しいですね」
信長「あやつは大抵の女が喜ぶものを欲しがらんからな」
蘭丸「確かに……特に化粧品の類は贈られても困った顔をしていますもんね
そういえば最近気になる人ができたって聞きました」
信長「ほぉ…。相手が誰か聞いたか?」
蘭丸「いえ、そこまでは。『意気地なしだからきっと告白しないで終わるだろうな』なんて寂しいことを言っていました」
『舞様ならより取り見取りなのに』と、蘭丸が呟いている。
何か閃いたらしい信長は蘭丸に視線を向けた。
信長「ふむ、お年玉は決まりだな」
信長は既に使える状態になっていた墨に筆を浸した。
サラサラと紙に筆を滑らせ、乾いたのを確認してから封をし、蘭丸に持たせた。
蘭丸は届け先を告げられ、城を出発していった。