第72章 おまけ
(光秀)
形ある贈り物は用意できなかった
が、舞は喜んでくれるだろうか…
形のない贈り物を忘れないように何度も頭の中で反芻する
(姫)
うーーーーー!どうしよう、これで最後なのに持ち上がらない!
あ!きゅ、九兵衛さんっ!!
スミマセン、忙しいとは思いますが少しだけお願いしても良いですか?
これを、ここに乗せるのを手伝って欲しいんです
はぁ、ありがとうございます
あとは木の枝と……あ、厨でニンジンを借りてこなきゃ
マフラーは…、光秀さんの首に巻いてる布を借りちゃおうっと♪
光秀さんの部屋に戻って布を引っ張り出していたら、九兵衛さんが木の枝とニンジンを持って戻ってきた。
何も頼んでいないのに、どうして?
朝の残り?
なんのことかわからないけど、ありがたく受け取った
(光秀)
御殿に着くと九兵衛が待ち構えていた
今日は舞についているように命じておいたが、ニコニコと、らしくない笑みを浮かべている
お二方(ふたかた)は本当に仲がよろしいですね、などと言い、舞は俺の部屋に面する庭に居ると教えてくれた
庭は雪が降り積もっているはず。まさか雪遊びでもしているか?
急いで行ってみれば真っ白な雪の中に映える、真っ赤な服。
(姫)
雪だるまが出来上がった最後の仕上げに、光秀さんの布を巻き付けていたら
わわっ!?
急に後ろから抱きしめられた
誰っ!?と叫びそうになったけど、覚えのある腕の感触は光秀さんだった
一日中この格好で居たのかと聞かれ、はいと答えた
だって自分の部屋に行けなかったんだもん
サンタ服の下には毛糸で編んだ黒パン履いてるし、二―ハイソックスも履いてる
太ももは出てるけど、雪だるま作ってたいたから熱いくらい
それより!見てください!
これが外国の雪だるまなんですよ!
木の枝を短く折って、まつ毛の代わりにしたんです
ちょっと光秀さんっぽくて、可愛いでしょ?
………なんで光秀さん、笑い出したんだろう?