第4章 看病二日目 効果のない線引
(気のせい…だよね)
そう思わないと無理やり閉じた心の蓋が緩みそうだった。
「笑う門には福来るって言うじゃありませんか」
謙信「おまけによくしゃべる」
楽しそうに口の端を上げ、謙信様は上品な仕草で食事をしている。
「謙信様が話を振ったんじゃないですか!
も、もう!黙って食べます」
(ご飯食べてるだけなのにカッコイイし!
なんか、凄く悔しい)
涼し気に食事をする謙信様の隣で、ムスッっとした顔で麺をすする。
それを謙信様が時折目を細めて見ていた事に、私は全然気が付かなかった。