第71章 謙信様との逢瀬
あてられる殺気に震えながらお腹に力を入れて仁王立ちした。
謙信「信長を守るのか…?」
信長様に狙いを定め、刀を構えている謙信様は物凄く様になっていて、カッコイイ……
けど
(怖いんですけど!!!!)
片足後ずさったところで後ろに立っていた信長様に肩を支えられた。
信長「謙信、舞がお前と逢瀬に行こうとめかしこんでいたが鍛錬を続けるというなら仕方あるまい、付き合ってやる。
舞、残念だったな。部屋で針仕事をしていろ」
「…はい」
信長様の意図を察して家の中に戻る仕草を見せた。
謙信「待て。舞。今日は逢瀬の約束などしていなかっただろう?急にどうした」
「えっと…針仕事が区切りのいいところまで終わったんです。
お天気もいいですし、始まったばかりの紅葉を見ながら謙信様とおでかけしたいな、と思ったんですけど、忙しそうなのでまた今度にしますね」
区切りが良いどころか縫いかけの着物を机の上に投げ出してきたけど、そのことは無理やり頭から追い出した。
わざと素っ気ない素振りで背を向けた。
玄関で草履を脱いでいると、謙信様の草履が視界に入った。
草履から足、お腹、胸、顔と視線をあげていく。
謙信「行かないとは言ってないだろう?」
少し拗ねた口調で私が着ている着物を見て、髪に触れた。