第70章 行商人
謙信「町に新しい産婆がきたなら、そろそろ『思う存分』愛してもいいか?」
「え…?」
(今までもしつこいぐらい、思う存分愛してくれてた…よね?)
夜着腰に下腹を撫でられた。
まさぐるようないやらしい撫で方に顔が熱くなる。
「ちょっと駄目ですよ、謙信様!」
手をぺしっと叩いて抗議しても、謙信様はやめずに甘く囁いた。
謙信「舞のここを俺の色に染めても良いかと言っている」
ドキンと心臓が跳ねた。
「あ……」
子供達の足音が近づいてきた。
(それって、それって……)
咄嗟に俯いて、ちらりと謙信様を見ると熱い眼差しが返ってきた。
謙信「舞はどう思っている?まだ………駄目か?」
二色の瞳が甘く誘いながら、断られる不安に揺れている。
(なんだか昔を思い出すな)
宿で謙信様が想いを打ち明けてくれて、私が返事をするまでの間、謙信様はずっとこんなふうに不安そうな目をしていた。
あの時のまんまの謙信様に胸がキュンと疼いた。