第70章 行商人
謙信「俺に抵抗しようなどと無駄だ。今夜はこのまま寝ることにする。
舞も遠慮なく寝ていいぞ」
「いえ、無理ですっ、重い、苦しい。
はぁ、なんだか布団の中、熱い…」
謙信「ほう?俺に抱かれて身体が熱をあげたか?」
「ち、違います!夏に布団を頭までかけて抱きつかれたら、誰だって暑くなります!」
謙信「そうか?俺は暑くない」
「謙信様は布団に入ってないからでしょうっ!?」
ガラ
「え…」
開いたドアを見ると結鈴と龍輝が寝ぼけた顔をして立っていた。
龍輝「ママ達喧嘩してるの?」
結鈴「喧嘩してる声で起きちゃった」
「わぁぁぁ!?ご、ごめんね」
ヒートアップして声が大きくなっていたようだ。
謙信「喧嘩と言えば喧嘩だが仲直りしたところだ。たまには一緒に寝るか?」
「え?」
しばらく一緒に寝ていなかったからドキッとしたけど、
結鈴「うん!結鈴、パパと寝たい!」
龍輝「僕、ママと寝る!」
「…だよね~」
二人は枕を取りに部屋を出ていき、私はトホホな気分で布団を整える。
謙信「舞」
いきなり艶のある声で名前を呼ばれ、抱きしめられた。
布団越しではなく夜着越しに。
謙信様の体温をに誘われるがままに抱きしめ返しそうになった。
「だ、だめですよ。二人共すぐ戻ってきますから!」
誘惑を払いのけ声を落として抗議すると、謙信様が色を含んだ眼差しで見つめてきた。
(な、何?)
これから子供達がくるのに、なんで色気だだ洩れなんだろう。