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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第70章 行商人


全部私のためだったってわかるけど、それなら猶更言ってくれても良かったんじゃないかと思う。


謙信「すまなかったな、舞」

「ふん!今更謝っても知りません!
 怒ってるんです、話しかけないでください」


頭まで布団をかぶって寝ていると、謙信様が明かりを消す気配がした。

話しかけないでくださいと言ったのは自分なのに、このまま素直に寝られてしまうとなんだか悔しい。


謙信「舞」


布団ごと抱きしめられた。


謙信「すまなかった。勝手な行動でお前を不安にさせてしまった。
 飽きてなどいない。毎夜己を律するのに苦労している。触れられない期間が長くなり、おかしくなりそうだ。
 言葉や態度で伝えきれない。本当はお前に毎夜触れたい…」


布団越しに伝わる腕に力がこもった。


謙信「いつも俺はお預けをくらうな。
 現代に追いかけて行ったばかりの頃も、蝦夷に飛ばされて再会した時も、この家に住み始めてからは何かと制限されることが多い。
 ついには舞を抱けなくなってしまった。

 思う存分愛せたのは安土の宿で初めて抱いた時と、舞の家に世話になっていた時だけだ」
 

(そう言われればそうかもしれない)


なんだかちょっとかわいそうになってしまった。
布団から顔を出し、モゾモゾと動いて体の向きを変えた。


謙信「ようやく出てきたか。
 お前を怒らせたままでは寝られない。許してくれるか?」


暗がりに見える謙信様は弱った顔をしていて、反省しているようだ。


「……もういいです。飽きられたんじゃないってわかりましたし」

謙信「そうか」


あんな困った顔をしていて、私の言葉一つで嬉しそうにするなんて…


(許すしかないじゃない)


惚れた弱みですぐ許してしまう自分が悔しい。

謙信様の長い足が布団の上にどすっと置かれた。


謙信「腕で抱きしめるだけでは足りない」

「だからって足……う、おもっ!」


片足分の重さなのに、どかすことができない。


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