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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第69章 毛玉の家来


結鈴もつられて笑い、手に持っている大福の包みに目をやった。
包みを大事そうに抱え、結鈴がひそひそ声で呟いた。


結鈴「ほんとは、きゅーすけのきゅーは九兵衛さんのきゅーなの」


笑っていた信長は意外なことを聞いたと、結鈴に視線を向けた。


結鈴「信長様の家臣は光秀さんと蘭丸君でしょ?
 光秀さんに家臣はいなかったのかなって佐助君に聞いたら、『光秀さんの家臣は九兵衛さんだ』って教えてくれたの。
 光秀さん、九兵衛さんがいなくて寂しくないかなぁと思ったからきゅーすけにしたの。
 きゅーすけが大きくなったら光秀さんの相棒になれるかなぁ??」


信長が喉を鳴らして笑った。


信長「結鈴の頭の中には光秀しかおらんのだな。さぞかし軍神は落ち着かぬだろう。
 猫が光秀の相棒になれるかはわからんが、そうなったら良いな、結鈴」

結鈴「フフ~。秘密だよ、信長様。大福のお礼なんだから」

信長「随分と安く済んだものだ」


他愛もない会話をして信長は笑った。

幼き日からずっと乱世に身を置いた信長が、家臣でもなく家族でもない幼子と並んで歩き、秘密話をしている。

冷たかった眼差しは、ここに来て、いや、舞と再会してからずっと温かさをたたえていた。


結鈴「あ!」

信長「また転ぶなよ。貴様が怪我をすると、騒々しい大人どもがまた騒ぐ」


転びそうになった結鈴の腕を掴んで、もう転ばないようにと手を握ってやる。

自分の子でさえ手を繋いで歩いた経験もないというのに…信長は苦笑した。


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