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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第69章 毛玉の家来


結鈴「そうだね、パパとかママとか、龍輝とかね」

信長「もう一人居るだろう。敏いのか鈍いのかわからぬところが舞の娘だな」

結鈴「え?あ、信玄様かぁ。
 この前の怪我、治るまで毎日こっそり飴をくれたの。優しくて面白いし大好き、信玄様」

信長「…お前もゆくゆくは悪女になるのだろうな」

結鈴「あく、じょ?」

信長「なんでもない。ほら、お前の父が心配して家から出てきたぞ。行ってやれ」


手を離すと結鈴が謙信の元へ走っていく。
手に持っていた包みを謙信に見せて、信長に手をふった。

謙信は不承不承ながら信長に軽く頭を下げ、家に入っていった。


信長「終わりに差し掛かっているとはいえ乱世であるのに、この地は忘れ去られたように平和だな」


時の神がいつ動くかわからないという枷を除けば、この地での暮らしは穏やかでそれなりに楽しい。

かつての敵が数軒隣に住んでいるという異常な状態だが、少しの刺激がなければつまらない。


信長「この世の、この場所が平和なのは偶然か?
 それとも秀吉、家康…お前達が為し遂げたことの結果か…?」
 

南西の空を見上げ、信長はしばらくそうしていた。


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