第68章 たとえ離れても…
謙信「…仕方ない、三番目だ」
信玄「じゃあ俺が四番目だ。予約しておくぞ、舞。
俺を探すなら甘味処を重点に探してくれ」
信玄様が冗談交じりの口調でパチンとウインクして寄こした。
謙信「信玄、何を悠々と待つ気でいるのだ。
怠惰な態度で居たならば斬りつけるから覚悟しろ。
舞、信玄なんぞ探さなくとも良い」
「いえ、そんなわけには…皆一緒でしょ?」
謙信様と信玄様のいつものやり取りが、冷えた心を温め、溶かしてくれる。
謙信「俺は家族がそろえば良い」
佐助「謙信様………俺は…」
謙信「………佐助もだ」
「ふふ、皆です。ここに居る全員、誰一人欠けることなく集まるよう探しに行きます」
謙信「本当にお前は……まぁ、それが舞だな」
うさぎを可愛がる時と同じように、頭を撫でられた。
穏やかな気持ちでそれを受け入れていると…
結鈴「結鈴は迎えにきてもらわなくても大丈夫。結鈴は光秀さんを探しに行くから」
「え?」
一番目に断られた。
龍輝「じゃあ、僕は信長様ね~」
二番目もかるーく、断ってくる。
「まだ結鈴と龍輝に力があるかわかってないんだよ?」
結鈴「いいの、いいの♪」
龍輝「三人で探せば、全員すぐ見つかるよね♪」
楽観的な二人に肩がガックリと落ちた。
佐助「俺のことは誰が迎えに来てくれるんだろう…」
蘭丸「どうせ俺達はおまけだよね、佐助殿」
信長様と光秀さんは肩を揺らしている。
信長「頼もしい子らだな、謙信」
光秀「では結鈴と龍輝には、信長様と俺が居そうな場所を後で教えておくとしよう」
謙信「結鈴、龍輝。お前たちは安土に味方するのか」
龍輝「えー?だって一緒に住んでるし」
結鈴「皆、仲良しだしねー?」
龍輝・結鈴「「皆一緒がいい!」」
謙信「………」
とぼけたやり取りが続き、いつの間にか場の雰囲気は明るいものになった。
「ふふ」
振り返ったら居なくなっていたとしても
たとえ遠く離れても
見えない繋がりと、想いはある
私はそれを頼りに必ず探し出してみせる
時の神に…抗ってみせる