第68章 たとえ離れても…
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ニャーン……
(猫さん、どうしたの。三成君はここに居ないよ)
ズシ
(お、重いっ)
仰向けで寝ていたところに、お腹の上に何かが乗った。
身体を左右に揺らして落とそうとしても何故か落とせない。
「う、うーん」
眉間に皺を寄せうんうん唸っていると、部屋の外から結鈴の声が聞こえてきた。
結鈴「きゅーすけー!あれ、どこに行ったのかな」
佐助「しー。結鈴ちゃん。まだ舞さんが寝ているから静かにね」
廊下を歩いていく音が遠ざかっていく。
(あれ……)
がば!!!
「ね、寝坊しちゃった!?」
『にゃ』
跳ね起きた私をきゅーすけが恨みがましい目で見ている。
「重かったのはきゅーすけのせいか……」
部屋には西日が差している。
「寝坊じゃない。そっか、気を失ってたんだ」
寝ている時に、この部屋で皆が何か話していた気がする。
内容は忘れてしまったけど全員居たのだけは覚えていた。
「寝室に人を入れるなんて、謙信様にしては意外だな」
それくらい皆が心配して押しかけてきたのかもしれない。
「さっさと起きて顔を見せなきゃ、それに夕飯の支度も…」
寝室の戸を開けると、きゅーすけも一緒に部屋から出てどこかへ行ってしまった。