第68章 たとえ離れても…
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佐助「話を聞く限り、舞さんの予想で間違いないと思います」
信玄「怖い思いをしただろうな、姫は大丈夫なのか」
蘭丸「ここまで自力で歩いてきたし、精神的なものだと思うけど…」
信長「時の神が動いたと気づき、大方ここに居る俺達、特に謙信の生死を心配したのだろう。
無事な姿を目にして気が緩んだか」
気が緩んだだけじゃないの
怖い…
時の神の力が忍び寄ってくるんじゃないかって
今回は船に乗っていた『死ぬはずだった人達』がさらわれていった
でも次は?
もしかしたら次は、ここに居る誰かかもしれない
だって、ここにいる人達は全員『死ぬはずだった人達』なんだから
守りたい
謙信様を、皆を…
謙信「寝ながら泣いているのか…」
空気が動き、柔らかい布で涙を拭かれた
龍輝「ママ…起きてよ…」
結鈴「ママ……」
光秀「大丈夫だ。お前達の母は必ず起きる。
怖い思いをしたのだ、少し休ませてやれ」
不安そうな二人の声と、それを励ます低く艶のある声。
(良かった……皆、居る…)
謙信「今度は微笑むか。寝ながら忙しいやつだな…」
謙信様の言葉に場が和む気配がした。
頭を優しく撫でてくれる手が気持ち良くて、スっと眠りの世界に誘われた。