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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第68章 たとえ離れても…


――――
――

信長様に狙いを定めて落ちてきた雷。

雷で燃えだした本能寺はいつの間にか光秀さんが火をつけたことになった。

秀吉さんが下した命令とは違う行動をとった部下達。

どれも不可解で、強引な力でなされた。

それをしたのは佐助君風に言えば……時の神
 

波が舟に襲い掛かった光景が目に焼きついて離れない。
里山に向かう道すがら、目に映っているのは緑の木々…ではなく、繰り返し再現される不自然な波の動き。

波はあの船だけを襲い、手招くようにして沖へ連れて行った。

科学が進んだ500年後からきた私でさえ、あんな現象は知らない。


(あれは自然現象なんかじゃ、ない)


「あの人達はあのまま死ぬはずだったのかもしれない。
 それなのに私があの場に居合わせ、500年後の知識で助けようとしたから……」


全員死ぬはずだったのに、助かる人が出てきてしまう。
 
歴史を変えさせないために時の神の力がはたらいたのだとしたら……


「っ」


時の神の力を目の当たりにして、怖くて頭がどうにかなりそうだった。


「もしあの時、私と蘭丸君が船に乗っていたら…」


救助をしていた人達は全員無事だった。
きっと『まだ生きる人達』だったからだ。


(私と蘭丸君は……?)


少なくとも蘭丸君は本能寺で『死ぬはずだった人』だ。
心臓が嫌な音をたてて五月蠅い。

足が震え、膝が折れそうになるのを鞭打って歩いた。


早く帰らなきゃ
早く知らせなきゃ

早く…会いたい



「さっきのはきっと…時の神が……」

蘭丸「舞様、落ち着いて。大丈夫だよ。
 大丈夫…。何かあったら守ってあげるから」


里山に着くまで蘭丸君がずっと声をかけ続けてくれた。


「……」


(私が守ってもらうんじゃない)


守ってあげなきゃいけないのは……


蘭丸君や、里山にいる皆だ…


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