第64章 大雪の夜に
「…ではこのまま一緒に寝ますね。
あ、掛布団が足りないかな、私の布団を持ってきますね」
謙信「違う。お前を抱くという意味だ」
(う、やっぱりそっち?でも…)
「駄目です。隣の部屋で信玄様と佐助君が寝てるんですから」
この部屋を挟んで隣で寝ている人達が居るのに、とてもそんな気にはならない。
壁だってただの板張りで、普通の会話でさえ筒抜けだろう。
謙信「可愛い妻を愛でて何が悪い?」
「…そのお気持ちは嬉しいんですけど、時と場合が…」
謙信「もう我慢の限界だ。
一緒に居るというのに触れ合っていない」
抱き締めてくる力が強くなった。
謙信様の身体がさっきよりも明らかに熱い。
「それはそうですけど…」
謙信「散々他の男と触れ合っておきながら、俺をかまってくれないのか?
それにこの間「可愛い」といった仕置きをまだしていない」
「お仕置きするほど罪深い発言なんですか!?」
『謙信様ってしょっちゅう可愛いけど』と思っていると、謙信様に見破られてしまった。
謙信「お前は普段から俺のことを『可愛い』と思っているようだが、心で思われるのと口で言われるのとでは悔しさの度合いが増してくる」
「可愛いと言われると悔しいんですか?」
意外だ。