第64章 大雪の夜に
謙信「愛でる存在の舞に愛でられると悔しいものだ」
「そ、そうですか?
私目線で言いますと、謙信様はとっっっっっても格好が良くて、素敵で、ため息しかでてこないくらいなんですが、時折見せてくれる仕草だったり、言動がもう可愛くて、胸にグサッと刺さるんです。
普段クールな印象なので、可愛さがのぞくと倍、いや百倍くらい可愛く見えるんですよ!
『ギャップ萌え』っていうやつです」
熱く語ってみたけど、謙信様はやっぱり複雑そうだ。
謙信「お前は普段の俺ではなく、垣間見る一面を大事にしているのだな」
「普段の謙信様も大好きですから安心してくださいね。
ちょっぴり怖いところも、極端なところも、ちらっと見える可愛さも、ぜーんぶ好きですよ?」
謙信様のどこが好きって、全部好きだ。
欠点に見えるところも全部。
色白の頬が照れを含んで仄かに赤くなった。
謙信「お前には叶わぬな。俺も舞の全てが愛しい」
抱き締められた腕に力がこもった。
(ふふ、嬉しいな)
謙信様の体温で暖められた布団は、気持ち良い眠気を呼んでくる。
「……ん~」
謙信「こら、寝るな」
「んー、謙信様、だいすき……」
フワフワした意識の向こうで、謙信様が『仕方のない奴だ』とため息を吐いたのが聞こえた……。