第63章 上司のために佐助大活躍!
佐助「ミッションコンプリートだ」
天井裏に逃げ込むのと、部屋の戸が開くのは同時だった。
舞さんの喜ぶ声が聞こえ、上司の驚いている気配が伝わってきた。
ひとりガッツポーズをとり、梁をつたって脱出を試みる。
佐助「っ?!」
下から短剣が投げられ、天井板に突き刺さった。
佐助が板を外して降りると、そこは信長様の部屋で、蘭丸さんが立っていた。
蘭丸「なーんだ、佐助殿か。誰かと思ったよ」
佐助「君の上司の部屋を横切ってすまない。
俺が姿を見せると何かと邪魔者だから」
その言葉に蘭丸さんがピンときたようだ。
蘭丸「もしかして舞様と謙信殿?あの二人は仲良し過ぎて困っちゃうよね。佐助殿も大変じゃない?」
佐助「大変だけど、大変なのが良いんだ。
M気質ではないと思うんだけど、謙信様の部下は辞められない」
蘭丸さんが不可解な顔で『え、む?』っと呟いている。
佐助「ふっ、手がかかるほどナントカって言うやつです」
蘭丸「佐助殿って謙信殿のこと『可愛い』と思ってるの?
やだなぁ、軍神を『可愛い』なんていう人は佐助殿だけだと思うな」
佐助「いや…それは誤解です。
『可愛い』と思っているのはきっとこの世に1人だけだと思う」
蘭丸「ふふ、そうだね」
忍び同士通ずるものがあるのか、はっきり言わずとも話が通じる。
蘭丸「とにかく、お疲れ様!だね。佐助殿☆」
ニッコリ笑われ、肩の力がふと緩んだ。
佐助「さっきマックスで頑張った疲れが取れました。
ありがとうございます、蘭丸さん」
お礼を言うと、蘭丸さんの顔がまた『ん?』という表情になった。
それを尻目に、上司の部屋の方に向かって呟いた。
佐助「メリークリスマス、謙信様、舞さん」