第63章 上司のために佐助大活躍!
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翌日の午後。
信玄「大体こんなもんで良いんじゃないか?
どちらにしろ生木だから、使っているうちに歪みが出てくるだろうしな」
信玄が作るよりも倍の時間をかけて舞の机が出来上がった。
日曜大工などしたことのなかった謙信が作った机は、気持ちガタついていたが、足の下に木片でも挟めば使えそうだった。
謙信が机を手掛ける隣で信玄も作業をして、龍輝の机と椅子を完成させていた。
その後も何やら木材を日に晒す作業を念入りにしていた。
謙信「今乾かしている木材は何かに使うのか?」
信玄「これか?『来月』までにちょっと作りたい物があってな」
謙信「雪が降りつもれば外に出たくとも出られなくなるだろう。余りある時間を大工仕事にあてるのも良いかもしれんな」
信玄「ははっ、お前は雪が降ったからと家に閉じこもる男じゃないだろう?鍛錬に付き合う佐助も大変だな」
謙信「今日の礼に、信玄にも鍛錬をしてやってもいいが?」
嬉々として誘う謙信に対し、信玄は迷惑そうな顔をした。
信玄「いや、遠慮しておく。俺は冬の時間を利用して、家の中の修繕に忙しいからな」
謙信「金槌を振ってばかりいると腕が鈍るぞ?
まあ、いい。今日は世話になった」
信玄「お前が俺に礼を言うなんてなー。明日は槍が降らなきゃいいが。……姫、喜んでくれるといいな」
最愛の謙信が作ったと知れば大喜びするだろう。
二人は舞の花のような笑顔を思い浮かべた。