第62章 里山に住まう
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信長様が使う予定のお部屋掃除が終わり、次に隣の光秀さんのお部屋にお邪魔する。
佐助君が梁の上を拭いてくれた折に落ちた埃を、はたきをかけ、箒で掃き、最後に床を拭いて綺麗にしていく。
「いたっ!」
バックしながら拭いていたところ、足の裏に何かが刺さった。
「どうしよう。怪我しちゃったかな」
謙信様は私が傷つくのを酷く嫌がる。
小屋で脛を打ち付けた次の日、青たんができただけで大騒ぎだった。
急いで足袋を脱ぐと土踏まずの辺りにポツンと血が滲んでいた。
見ると床材の一部が傷んで、棘のようにツンと上を向いていた。
「やっちゃった。謙信様に気付かれないようにしないと…」
帯の下にいつも忍ばせている絆創膏を取り出す。
(消毒、必要かな)
もう一度傷を確認しようと顔を近づけると、すっと影ができた。
(?)
誰だろう?と顔をあげると
光秀さんが立っていた。