第62章 里山に住まう
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佐助君が案内してくれたのは、人の手が離れた里山だった。
昔は畑だっただろう場所は何年も放置されていたようで、夏に生い茂った雑草がそのまま枯れて寂しさを漂わせていた。
私達が到着すると、埃だらけの家を蘭丸君が一部屋だけ綺麗にしてくれていた。
大きな囲炉裏と竈には火が入り、暖かい部屋に迎え入れてくれた。
信長「こう寒くなっては舞や龍輝、結鈴に移動は無理だ。ここで冬を越す」
信長様の意見は誰もが納得するところで、皆頷き、冬越えの仕度に入ることになった。
里山には古ぼけた空き家が何軒もあったけど、冬支度を急がなくてはいけないと、一番広くて大きな家に全員で住むことにした。
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住処を決めてからはとにかく慌ただしかった。
冬支度を全くしていない家を補修・補強し、森に入り薪用の木を伐り出してきた。
斧と鉈を交代しながら薪割を進めていく様子は、見ていて気持ちが良かった。
薪割をした経験がなかった人もコツを覚えると、気持ち良いくらいパカーンと木が割れていった。
それらの薪を晴れた日にじっくり乾燥させた。
家の周りにぐるりと薪を干していたのは圧巻の眺めで、その上を龍輝と結鈴が渡り歩いて遊んでいた。